不老倉越え

不老倉越え_d0085096_9442685.jpg
我が鹿角は、鹿角の里は田舎なれど西も東も金の山、と謳われるほど、豊富な黒鉱と呼ばれる希少金属を多く含むもののおかげで、鉱山が多かった土地じゃ。我が鹿角に存在した鉱山の数、100を下らぬ。それぞれの鉱山の寿命は長短様々じゃが、かつて少なくとも大きな鉱山として一世を風靡しておったうちのひとつに、不老倉鉱山というのがあったらしいのう。この鉱山、大湯温泉郷の隆盛に大きく寄与しておった由。おまけに不老倉鉱山は奥羽山脈の真ん中にあって、秋田と青森、岩手の三県の境に極めて近い場所にあったようじゃ。大湯から大湯川支流の安久谷川を上っていくと、その水源に近いところに不老倉鉱山の跡があるわ。そしてこの大湯から安久谷川を辿って不老倉へ通じる道、往時はさらに続いて、山を越え青森の田子へ抜ける街道になっておったようじゃ。鹿角街道といえば盛岡から始まり、七時雨山の麓を通って荒屋新町、花輪、毛馬内を経由し大湯から田子、三戸までと聞いておるが、中滝を通らずに不老倉から田子へ抜けるこの道、鹿角街道の一部であったかもじゃな。不老倉の産銅のみならず、我が鹿角の鉱産資源が運ばれておった古い道じゃ。今はその道の面影を探すのは容易ではないが、代わりに秋田青森岩手三県を分ける四角岳への登山口があったぞな。ちなみにこの不老倉越えの道、青森県側からアプローチすると弥勒の滝がありよる。弥勒の滝から不老倉なぞ、地図上では目と鼻の先なのじゃが、道が草木に埋もれてしまった今はずいぶんと遠い存在になってしまったようではあるな。(朕)
by deepkazuno | 2008-10-25 10:07 | ダンジョン
<< 帝都にあてはめてみた agri-カルチャー >>